1 開催日
2024年7月22日
2 講師
山崎 牧子(やまざき まきこ)先生(経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課 課長補佐)
3 会場
ふれあい貸し会議室 八重洲加藤(ハイブリッド開催)
4 参加人数
リアル17名、リモート25名(内、ケアビジネス研究会 6名、zoomアカウントをカウント)
5 概要・所感
2024年2月定例会「経営視点で学ぶ、健康経営 -健康経営資本のつくりかた-」に続き、健康経営をテーマに経済産業省の事業や今後の方向性に関して、経済産業省 ヘルスケア産業課で健康投資WGを推進されている山崎牧子先生にご講演いただきました。
日本は少子高齢化で人口減少局面にある一方で、平均寿命は延伸していています。そのため、要介護者が増加し、社会保障の負担額も増加傾向にあります。これらを解消するため、健康に長生きする健康寿命の延伸、人々の健康投資や医療の質の高度化を目指した、ヘルスケア産業市場の拡大が課題となっています。
ヘルスケア政策では、国民の健康増進、持続可能な社会保障制度構築への貢献、経済成長を推し進めるため、(1)健康経営の推進( 企業が従業員の健康づくりを「コスト」ではなく「投資」として捉え、人的資本投資の一環として推進)、(2)PHR(健康診断結果や日常の脈拍などのデータ)を活用した新たなサービスの創出、(3)質の高いヘルスケアサービスの創出・振興、(4)介護・認知症等の地域課題への対応、(5)ヘルスケアベンチャー支援、(6)医療・介護・ヘルスケアの国際展開の6領域が重要視されています。
経済産業省では予防・健康づくりがメインで、健常者を対象にヘルスケアサービスの創出・振興、健康経営/PHR等の環境整備、海外展開施策が実施されています。
今年度より、日本健康会議が認定する健康経営優良法人の中で特に優れた法人に付与されるブライト500(中小規模法人部門)の下位に、要件を緩和したネクストブライト1000を新設し(1000社が対象)、中小企業における健康経営の推進が図られています。また、女性特有の健康課題について、経済損失が年間3.4兆円と試算されており、注目が集まっています。経営会議等で健康経営を議題として取り上げていることがホワイト500(大規模法人部門)の要件に追加され、経営層の関与に対する重要性も高まっています。
さらに、健康経営で上位の認定を受けている企業ほど、ワークエンゲージメントが高い、高ストレス者の割合が低いなど企業利益につながっていることなどから、健康経営の推進は企業経営にとって非常に重要な課題となっています。
今回のお話で経済産業省の施策や今後のトレンドを理解でき、中小企業診断士として企業支援を進めていく上での基礎知識となり、非常に有意義な内容でした。
(記:田中 順 会員)