1 開催日
2023年7月24日
2 講師 後野 和弘氏
オリンパス株式会社 先端技術開発機能グローバル シニアバイスプレジデント
3 会場
東京都中小企業診断士協会 中央支部事務所(ハイブリッド開催)
4 参加人数
リアル10名、リモート16名
5 概要・所感
7月24日定例会にて、後野 和弘 氏(先端技術開発機能グローバル シニアバイスプレジデント)に「イノベーション実現における実際の課題」をテーマに講演いただきました。
医療機器や創薬開発を手掛ける企業や医療機関にとって、イノベーションの実現は重要な経営課題の一つといえます。喫緊の課題である一方で、実際の現場ではどのようにイノベーションを進めるべきか手探りの状況となっています。本講演では、医療機器開発を事例に実際のご経験から得た課題に対する知識を共有いただき、イノベーションの成功例、失敗例についてお話いただきました。
イノベーションは、今までと異なる方法で顧客にサービスや製品を届ける活動を意味し、競争優位性など現状の状況を把握し、競争力のある製品・技術獲得、製造能力の向上といった目的を明確にする必要があります。方法として、自社での新技術開発やスタートアップのM&Aなどがありますが、例えば新技術開発では自社で方向性をコントロールできる一方で、時間がかかるなどメリットデメリットがあり、自社の内部環境や外部環境に適した方法を選択することが必要です。
イノベーションの実現には、①マーケットプル型と➁テクノロジープッシュ型があります。①は、既存に存在している市場をターゲットとし顧客課題を解決するもので、成功確率が高い一方で価値の大きさは漸進的になります。前工程と後工程を含めた全体論を考慮したケアパスウェイ、保険償還などの医療経済性を考慮した課題設定が重要です。➁は、技術主導でビジョンがありそれに対して製品、機能を思い描くもので、破壊的もしくは急進的な価値が期待されます。またイノベーションの成功には、失敗を許す組織文化、担当者への権限移譲が重要になります。
上記をお話いただいた後、実際のご経験をもとにイノベーションを実現された事例をご紹介され、また失敗事例に関しては手段が目的となっていたなど気を付ける点をご教示いただきました。
理論から実際の事例までお話しいただき非常に勉強になる内容でした。(記:田中順会員)